転職先が決まってから会社に退職届を提出

私は以前、IRのコンサルティング会社に勤務していました。IRとは投資家向け広報のことで、株式を上場している企業が、株主や投資家に対して、企業業績や経営戦略について広報活動をする仕事です。

私は、株式上場企業のIR担当取締役や、広報IR部長に対して、投資家向け広報活動のアドバイスをする仕事をしていました。そして、上場企業に対するアドバイスだけでなく、投資家側の投資顧問会社のファンドマネージャーや証券会社のアナリストに対して、私の顧客企業について投資対象としてどのように評価するかといった、ヒアリング調査も行い、顧客企業の広報IR部長やIR担当取締役に報告する業務もおこなっていました。

そうした経緯のうちに、私自身も、株式上場企業のIR担当者として仕事をしたいと考えるようになりました。IR担当者として、自分自身が株主や機関投資家、個人投資家に対して前面に立って、業績を説明したり、経営戦略を説明したいと考えるようになったのです。

かといって、無職の期間をつくるわけにはいきませんので、IRコンサルタントの仕事をしながら、転職活動をすることにしました。はじめは、自分が担当している顧客企業の広報IR部長にそれとなく相談してみました。そして、「御社でIR担当者を採用する計画はありますか?」といった質問をしてみたのですが、現在は採用計画はないとのことでした。しかし、顧客の広報IR部長からは「キミなら、IR担当者としても十分仕事ができるよ」と言っていただけて、勇気づけられました。なお、念のために、私が転職を検討していることについては、私の勤務先には内密にしてほしいと依頼しました。

次に、人材紹介エージェントに登録をしました。IR担当者という職種は、一般の求人サイトや、公共職業安定所では扱っていないほどの専門職です。一方、人材紹介エージェントのホームページを見ると、IR担当者の求人案件が多くあります。常に20社くらいの上場したばかりのベンチャー企業がIR担当者を募集しています。3社の人材紹介エージェントに登録しましたが、IR担当者を募集している企業が、複数の人材紹介エージェントを使って採用活動を行っているため、3社のエージェントが紹介してきた案件は重複していました。しかし、自分の希望する条件である年収・ポスト・勤務地に合致する案件が3つほどありましたので、さっそく応募しました。

私の年齢が転職適齢期の30代半ばということもあったと思いますが、1社からスムーズに採用の内定通知をいただきました。ただし、入社時期については、これから勤務先には退職届を出すので、後日相談をさせてほしいということで了解をいただきました。

そして、勤務先のIRコンサルティング会社に、退職届を提出しました。退職日は1カ月後に指定しました。1カ月あれば、自分が担当している顧客企業の引き継ぎは完了するだろうと思ったのです。上司からは一度、慰留されましたが、すでに自分の転職先が決まっていると伝えると、それ以上は私を引き留めず、退職を認めてくれました。そして、ただちに私が担当している顧客企業の引き継ぎに移行しました。まず、いまどういった案件を手掛けているのかを一覧表にして、上司に報告しました。そして、私は10社の上場企業を担当していましたが、これを4名の同僚に引き継ぐように割り振られました。退職届を出してから1週間たってから、私は顧客企業に電話をして、退職をすることになったので、退職と引き継ぎの挨拶をしたいとお伝えし、挨拶に出向きました。顧客企業の広報IR部長からは、ご苦労さんとねぎらっていただき、次の会社での健闘を期待すると言っていただけました。私はまた勇気づけられました。こうした残務処理を終了させ、私は退職したのでした。なお、有給休暇が10日分残っていましたので、私はこれを全て消化しました。